血液型不適合妊娠けつえきがたふてきごうにんしん
最終編集日:2022/6/7
概要
血液型不適合妊娠とは、妊婦と血液型が異なる胎児の血液が分娩時などに何らかの影響で母体に流れ込み、母体に抗体ができてしまうことです。
血液型不適合妊娠には、ABO式とRh式とその他の不規則抗体によるものがあり、ABO式の場合は赤ちゃんに軽い貧血や黄疸(おうだん)などの症状が出ることがあります。
RH式の場合は、Rh 血液型では D,C,c,E,e の5 種類の抗原のうち,D の免疫原性が最も強く,通常 D 抗原陰性を Rh (-)としています。血液型がRh(-)の母親がRh(+)の父親との間に、Rh(+)の赤ちゃんを妊娠したときに起こり、胎児・新生児溶血性疾患を発症する可能性があります。その他の不規則抗体には抗c、抗E抗体、抗M抗体などが児に影響を及ぼすことが知られています。
原因
妊婦と胎児の血液型が異なり、分娩時などに何らかの影響で母体に胎児の血液が流れ込むことで抗体ができます。Rh(-)型の母親がRh(+)の胎児を妊娠した場合の影響がもっとも大きく、抗体ができてしまうと胎児の赤血球に影響を与えるため、治療が必要になります。
症状
ABO式血液型不適合妊娠とRh式血液型不適合妊娠ではそれぞれ症状が異なります。
●ABO式血液型不適合妊娠
O型の妊婦に、A型もしくはB型の胎児がいる場合に多く見られます。胎児に軽い貧血・黄疸などの症状が出ることがありますが、ほとんどは重症にはならないため、特別な処置は必要ありません。
●Rh式血液型不適合妊娠
血液型がRh(-)の母親がRh(+)の父親との間に、Rh(+)の胎児を妊娠したときに起こります。
Rh(-)の妊婦がRh(+)の胎児を妊娠すると、分娩(ぶんべん)あるいは流産や人工妊娠中絶時に、胎児のRh(+)の血液が母体内へ侵入することで、母体側にRh(+)の「抗D抗体」が作られます。
その後、妊娠したときに、前回作られたこの抗体が胎盤を通してRh(+)の胎児へ移行すると、胎児の赤血球を破壊してしまうため、溶血性の貧血や黄疸が起きます。
重症化すると胎児死亡の可能性もあるので早めの対処が必要です。
検査・診断
妊婦の血液型がRh(-)で夫がRh(+)の場合、定期的な抗体の定量が必要です。抗体の定量は通常、間接クームス検査にて行われ、値が上昇してくると児に影響を及ぼす可能性がでてきます。間接クームス検査の値が上昇した場合は、胎児の溶血の程度を推定するために 羊水を採取し、検査を行うこともあります。
その後の治療方針が決められます。
治療
Rh(D)陰性妊婦における予防処置として抗D抗体が作られることを予防するため、妊娠中や分娩後72時間以内、あるいは7週以降の流産や中絶手術後に抗D人免疫グロブリン製剤を注射します。
万一、抗体ができてしまった場合には、厳重な経過観察を行い、必要によっては早期に出産させて交換輸血を行うか、子宮内胎児輸血を行います。
セルフケア
療養中
妊婦がRh(-)の場合、中絶や流産も含めて何回目の妊娠なのかを主治医に伝えるようにしましょう。
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美