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胞状奇胎
ほうじょうきたい

最終編集日:2022/6/7

概要

遺伝子の異常により、受精卵や胎盤を作る組織(絨毛細胞)が子宮内で増殖して、水ぶくれとなった絨毛細胞が子宮内に充満しぶどうの房やいくらのような状態になるのが胞状奇胎です。妊娠時の胎盤をつくる絨毛細胞(栄養膜細胞またはトロホブラストと呼ぶ)から発生する絨毛性疾患の一つです。

胞状奇胎には、全胞状奇胎と部分胞状奇胎の2つのタイプがあり、それぞれ発生機序が異なります。正常ではない受精卵のため、胎児として成長することはできません。子宮内の異常物として取り除く手術が必要です。


原因

胞状奇胎は、若年妊娠や高齢妊娠、また胞状奇胎の経験がある、流産を繰り返している、などのケースで発生率が高くなります。

発生のメカニズムによって、全胞状奇胎と部分胞状奇胎とに分けられます。

全胞状奇胎は核のない卵子に精子が受精するもので、正常な胎児成分は認められません。部分胞状奇胎は正常な卵子に2つの精子が受精するもので、正常な胎児成分を一部に認めることができます。

正常ではない受精卵によって胞状奇胎になることがほとんどですが、まれに流産の後や正常な妊娠・出産後に子宮内に残った細胞からも胞状奇胎を発症することがあります。


症状

胞状奇胎に特徴的な症状はありません。代表的な症状は、正常な妊娠でも見られる性器出血、骨盤の違和感、つわりです。つわりは重い症状を訴えることがあります。



検査・診断

胞状奇胎は、超音波検査でぶどうの房状の状態が認められますが、流産との鑑別が難しい場合があり、血液検査でhCG(妊娠初期に分泌されるホルモン)を測定し、胞状奇胎では血中濃度が異常に高くなることから総合的に診断します。

確定診断には、除去された内容物の組織を検査することが必要です。


治療

胞状奇胎の約80%は良性ですが、15~20%の割合で絨毛が周辺組織に広がり、それがつづく傾向があります。そのうちの2~3%はがんになり、全身に広がってしまいます。

このため子宮内容物を除去する手術を行い、その一週間後に再度同じ手術を行って胞状奇胎が完全に除去できたかを顕微鏡検査で確認をします。これに加えて、胸部X線検査を行い、奇胎が絨毛がんとなって肺に広がっていないかどうかも確認します。

手術後も、完全に摘出されたことを確認するため、hCG値がゼロになるまで定期的に血液検査を行います。

測定値が順調に下がらない場合は[絨毛がん]や侵入奇胎を疑います。症状にあわせておもに抗がん剤を使った治療が行われます。


セルフケア

病後

胞状奇胎の後は、6カ月から1年ほど妊娠を避けなければなりません。ただほとんどの場合、次の妊娠への影響はなく、流産などのリスクが上がることもありません。

妊娠が進むにつれて胞状奇胎は進行し、手術による危険性も上昇します。奇胎が広がっていない場合は治癒が見込めますので、早めの発見が重要です。


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監修

JR東京総合病院 産婦人科 医長

松浦宏美