子宮外妊娠しきゅうがいにんしん
最終編集日:2022/6/7
概要
正常な妊娠の場合、卵管の出口付近で受精し受精卵は卵管を通って約1週間かけて子宮内に移動し着床します。しかし、何らかの理由で子宮以外に着床し、胎嚢(赤ちゃんを包んでいる袋)が確認できる状態となることを異所性妊娠と言います。異所性妊娠の中で最も多いのが子宮外妊娠です。
全妊娠のおよそ1/100~1/200の確率で発生し、出血や痛みが生じますが、一方でまったく症状がないこともあります。手術が必要になることも多く早期発見が重要です。
原因
異所性妊娠は子宮頸部や卵巣を含めた腹腔内すべてで起こる可能性がありますが、子宮外妊娠が起こる場所で最も多いのは卵管です。
クラミジアなどの感染症や、過去に受けた卵巣や卵管、子宮の手術がもとで卵管付近に炎症がおこったり、卵管が癒着したりすることや体外受精による胚移植が原因となることがありますが、すべての原因はまだ解明されていません。
症状
妊娠初期の症状は、つわりや乳房の張りなど正常妊娠と変わりません。妊娠週数が進むにつれて、少量の不正出血があったり、左右どちらかの下腹部が痛かったりと異常を感じることもあります。
超音波(エコー)検査の進歩によって、無症状でも子宮外妊娠が発見できるようになりましたが、診断が遅れて自覚症状がないまま妊娠が進んでしまうと、卵管が破裂して腹腔内に大量出血するなど、命にかかわる大事に至ることがあります。
検査・診断
超音波検査で子宮内に胎嚢がなく、卵管などほかの部位にある場合に子宮外妊娠の診断が確定します。しかし、胎嚢がどこにも見られない場合は、妊娠中にのみ分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)値を血液検査で測定し、流産をしていないかをまず診断します。
検査値が低ければ、妊娠初期で胎嚢がまだはっきり見えるまでに育っていないと考えます。一方、検査値が高い場合は、本来であれば見える大きさになっているはずの胎嚢が子宮内に見つからないということで子宮外妊娠を疑う、という診断になります。
子宮外妊娠の場所の確定には超音波検査やMRI、CTによる画像診断、または腹腔鏡などを用いて直接卵管を観察する方法などがとられます。
治療
手術による治療
手術で子宮外妊娠している部位を取り除かなければなりません。手術は腹腔鏡で行う場合と、開腹で行う場合があります。
子宮外妊娠は、そのほとんどが卵管で起こります。卵管で着床の場合、卵管まるごと切り取る方法が根治術として広く行われています。また卵管を切除しない卵管線状切開等の方法も卵管の損傷の程度や今後の妊娠の希望などを考慮しながら行われています。
メトトレキサート(MTX)療法
卵管妊娠が小さく、未破裂の場合は薬物療法が適用されます。使用される薬剤はメトトレキサート(MTX)という抗がん剤の一種で、筋肉注射により投与します。がん細胞の成長を抑制する作用により胎児の細胞分裂を止める治療法となります。1回の投与で効果が不十分の場合は2回以上の投与となる場合があります。
メトトレキサートは子宮外妊娠の治療の場合、保険適用外です。また、投与は抗がん剤としての使用量より少量ですが、副作用として口内炎、吐き気、白血球減少、脱毛、間質性肺炎などが挙げられます。しかし、いずれの副作用も一時的なもので、数週間から3ヶ月ほどで回復するとされています。
セルフケア
療養中
症状の有無にかかわらず、妊娠検査薬で陽性反応が出たら、必ず受診し、超音波検査で正常妊娠であるかきちんと確認してもらうことが重要です。子宮外妊娠の再発率は約10%と低くないため、子宮外妊娠後の再妊娠の際はしっかり検査をおこなうなど、注意が必要です。
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美