産後の痔、脱肛さんごのじ、だっこう
最終編集日:2022/6/8
概要
妊娠後期は大きくなった子宮が腸を圧迫し、便秘になりやすく、そのため強くいきむと肛門が切れる裂肛(切れ痔)や、子宮の圧迫によって肛門周辺の血の巡りが悪くなり血管に血液がたまる内痔核(いぼ痔)になる場合があります。
出産後は、分娩時のいきみや、胎児の頭の圧迫によって、内痔核が肛門から外に出てしまう脱肛を発症することがありますが、多くは食生活の見直しや、薬による治療で改善することができます。
原因
大きくなった子宮が骨盤内の血管を圧迫することで血流がうっ滞したり、分娩時の強いいきみ、胎児による肛門周辺の圧迫などが原因となります。
症状
肛門周辺の腫れや痛み、排便時の出血などの症状があります。
常に脱肛するようになると、かゆみや痛み、肛門のべたつきなどを感じます。下着が粘液で汚れることもあります。
検査・診断
問診と視診により診断されます。
肛門鏡でくわしく診断することもあります。
治療
排便後などに自然に戻る程度の脱肛の場合は、生活習慣を改善しつつ、軟膏や坐薬を使用して経過をみます。薬による治療が必要な場合は、座薬や軟膏が処方されます。痔に処方される軟膏は胎児や母乳に影響しないので心配ありません。分娩後、自然に改善することが多いです。
分娩後も症状が重い場合は、根本的な治療として手術が検討されます。
セルフケア
病後
痔は妊娠中の便秘や分娩時のいきみによって悪化することがあります。妊娠中から痔をもっている場合は、放置せず早めに対処しておきましょう。内痔核は、肛門周辺の血流を良くすることで悪化を防ぐことができます。入浴でよく温め、肛門周辺をマッサージするなどの対策がおすすめです。
痔の大敵は便秘です。妊娠中はホルモンの影響や大きくなった子宮による腸の圧迫、産後は授乳による水分不足のため、いつもより便秘になりやすい傾向があります。積極的に水分をとり、一日三食の規則正しい食生活を基本に、野菜、いも類、きのこ、海藻など食物繊維を多く含む食品を取り入れた食生活を心がけてください。
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美