流産りゅうざん
最終編集日:2022/6/7
概要
流産とは、妊娠したにもかかわらず、何らかの原因で妊娠22週未満に胎児が亡くなることです。流産の約8割は初期に起こり、妊娠11週頃までの流産は、ほとんどが胎児の染色体等の異常が原因です。多くの場合、受精の瞬間に流産の運命は決まっていて、妊婦の仕事や運動、精神的ストレスとは無関係とされています。
切迫流産は流産の危険はあるものの、妊娠が継続している状態を指します。
原因
妊娠の15%前後が流産になります。妊娠およそ11週頃までに起こった流産のほとんどは、胎児の染色体等の異常が原因です。初期の流産は受精の瞬間に決まるといわれるように、妊婦の飲酒や喫煙、転倒、強いストレスなどは原因にはなりません。
12週以降の流産については原因がはっきりとわかっていません。考えられる原因としては、子宮の異常(子宮筋腫、重複子宮、子宮頸管無力症など)、子宮内感染(絨毛羊膜炎)、原因不明のIUFD(子宮内胎児死亡)、先天異常など22週以降の死産と類似しています。妊婦の飲酒や喫煙などの生活習慣、感染症(サイトメガロウイルス、風疹など)、甲状腺機能異常や糖尿病などの病気も原因として考えられます。異常のように11週頃までの流産と、12週以降の流産は原因も質的に異なります。
症状
下腹部の痛みや出血がおもな症状です。
妊娠初期には、正常の経過であっても少量の出血や軽い腹痛を感じることがあり、流産や切迫流産で起きる症状と判断がつきにくいこともあります。
緊急を要するのは、出血量が生理時よりも多い、強い腹痛があるなどの場合です。進行性流産あるいは異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性がありますので、すぐに主治医に受診しましょう。
流産には次のようなタイプがあります。
〈流産の進行度による分類〉
●完全流産
胎児と胎盤、子宮の内容物もすべて子宮外に出てしまっている状態です。場合によっては子宮収縮剤を投与することもありますが、処置の必要はなく経過観察のみになります。
●不全流産
胎児、胎盤の一部が子宮の中に残ったままの状態で、出血、腹痛が続いて居ることが多く、子宮内容除去手術が必要です。
〈症状による分類〉
●稽留(けいりゅう)流産
胎児は亡くなっているが、自覚症状がないため、受診して気づくことが多い流産です。子宮内容除去手術をする場合と、胎児の自然排出を待つ場合がありますが、症状によっては緊急手術が必要になることもあります。妊娠12週以降の稽留流産では、陣痛誘発剤によって分娩する形になります。
●進行流産
腹痛や出血が始まり、子宮内容物が一部出始めている状態です。さらに進行すれば完全流産となります。
●感染流産
子宮内の細菌感染を伴った流産です。
〈流産の時期による分類〉
●化学(的)流産
市販の妊娠検査薬が登場し、超初期段階で妊娠反応をチェックできるようになったため、気づかれるようになった流産です。尿検査や採血で妊娠反応が出たが超音波検査では妊娠を確認できない状態です。生理と区別できないことがほとんどなので、処置は必要ありません。
〈流産の回数による分類〉
●反復流産
流産が繰り返し2回おこることです。頻度は2~5%といわれています。
●習慣流産
流産を3回以上繰り返すことです。頻度は1%程度といわれています。
検査・診断
流産の診断は内診、超音波検査、血液検査などで行われます。
治療
流産のタイプによって治療は異なります。
完全流産や化学流産は、治療の必要はありません。
稽留流産や不完全流産は、自然に出血とともに排出されることがあります。ただ症状によっては、陣痛誘発剤を使って人工的な排出を行います。
習慣流産は、両親に病気が隠れている場合や、子宮内で胎児が育ちにくい原因があると考えられます。不育症など専門医への相談が必要なケースもありますが、原因がはっきりしないことも多いです。
感染流産は、抗菌薬(抗生物質)の投与が行われます。
セルフケア
病後
初期の流産は、ほとんどが胎児の遺伝性疾患、先天性異常が原因によるもので、予防は難しいとされています。
流産への予防策はありませんが、妊娠に向けた事前準備として、禁煙、風疹や麻疹の予防接種、持病の治療をすませておく、葉酸を摂取しておくといったことが大切と考えられます。
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美