授乳期の乳腺炎じゅにゅうきのにゅうせんえん
最終編集日:2022/6/8
概要
授乳期における乳腺炎とは、何らかの理由によって母乳が乳房内に滞り、乳腺が炎症を起こした状態です。
乳房が腫れ、痛みを伴い、時に発熱することもあります。産後3カ月以内に発症することが多いとされていますが、授乳期間ならいつでも起こる可能性があります。軽い場合には赤ちゃんに母乳を吸ってもらうことで改善します。
原因
炎症の程度によって、うっ滞性乳腺炎と化膿性乳腺炎に分けられます。
●うっ滞性乳腺炎
母乳がうまく出ずに乳腺内に滞っている状態です。
母乳の通り道である乳管が十分に開いていない、乳頭の陥没などで赤ちゃんがうまく母乳を吸えない、赤ちゃんの吸う力が弱い、授乳の回数が少ない、などがその原因です。
●化膿性乳腺炎
細菌が乳房内のうっ滞した乳汁に感染して炎症を起こし、乳腺に広がってしまった状態です。うっ滞性乳腺炎が先にあって、乳管や乳頭にできた傷から細菌が感染することによって発症します。
症状
自覚症状がはっきりしています。
うっ滞性乳腺炎は、母乳がうっ滞(停滞)している部分に赤みがあったり触ると硬いしこりや腫れがあったりするなどの症状がみられます。
化膿性乳腺炎は、乳房の腫れと痛みに加えて、38℃以上の発熱やだるさなどの症状が現れてきます。わきの下のリンパ節が腫れて痛みを感じる場合もあります。
化膿性乳腺炎がさらに進行して乳房内に乳腺膿瘍(細菌と膿のかたまり)ができることもあります。こうなってしまうと、それまでの乳腺炎の症状に加えて、非常に強い乳房の痛み、腫れが認められます。
検査・診断
問診で症状を聞き、視診、触診でしこりを確認します。化膿性乳腺炎や乳腺膿瘍があると判断した場合には、血液検査をして炎症や細菌感染の程度を調べ、さらに膿瘍を確認するために乳房を超音波検査で調べることもあります。
治療
授乳期の乳腺炎では、たまった母乳を出すことが効果的な治療となります。
そのためには、症状が出ている乳房のほうから授乳を始めるようにしたり、赤ちゃんにいろいろな方向や角度で母乳を飲ませたり、授乳の回数を増やしたりすることが大切です。
乳腺のつまりを解消するために、助産師が行う乳房マッサージも有効とされています。乳房マッサージや授乳、搾乳の適切な方法や注意点について医療機関でよく教えてもらいましょう。
また、腫れや痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤が処方されます。化膿性乳腺炎へ進行している場合には抗菌薬が処方されることもあります。膿瘍ができている場合には切開して膿瘍を出すこともあります。
セルフケア
療養中
たまった母乳を出し切るようにつとめ、家庭での乳房ケアや授乳の工夫が大切ですが、必要ならば助産師や産後ドゥーラー(産後ケアの専門家)など母乳や乳腺炎のケアの専門家に頼ることも考えましょう。
授乳期は赤ちゃんの世話で大変ですが、乳腺炎はくり返しやすい病気でもあります。症状が出たら自己判断せず、できるだけ軽度な状態のうちに専門家に診てもらうようにしましょう。
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美