子宮復古不全しきゅうふっこふぜん
最終編集日:2022/6/7
概要
子宮は筋肉でできていて、妊娠によって30cm以上の大きさに引き伸ばされます。大きくなった子宮が出産を終えて、もとに戻る過程で何らかの異常が起き、正常に収縮されない状態が子宮復古不全です。
子宮内に胎盤や卵膜などが残っている場合や収縮自体の異常、産後の母体疲労などと原因はさまざまです。
出産後1カ月以上たっても悪露(産後6~8週間、子宮から排出される分泌物)の量が減らない、出血がある場合は受診が必要です。
原因
子宮収縮を妨げる原因が特定できる器質性子宮復古不全と、それ以外の機能性子宮復古不全の2種類に分類されます。
●器質性子宮復古不全
胎盤や卵膜などがうまく排出されず子宮腔に残されている場合や子宮筋腫や子宮腺筋症などが原因と考えられます。
●機能性子宮復古不全
多胎妊娠(双子、三つ子)、巨大児、羊水過多症などにより、子宮の筋肉が過度に引き伸ばされたことによる筋肉疲労やミルクで育児をしている場合も原因のひとつと考えられています。なかには原因を特定できないケースもあります。
症状
大きくなった子宮の収縮が緩慢でサイズの戻りが悪いため、出産後、日数がたっても子宮が柔らかく大きいのが特徴的な症状です。
血液の混ざった悪露が産後1カ月以上続くこともあります。子宮の収縮が弱いと子宮からの出血が止まりにくくなります。大量出血を引き起こす危険性もあるので受診が必要です。
また悪露が長引くと細菌感染症を引きおこしやすくなるため、子宮内膜炎などの子宮内感染症を併発することもあります。
検査・診断
子宮の触診や悪露の状態(出血の量など)から診断が行われます。
経腟超音波で子宮の大きさや子宮内部に胎盤や卵膜などが残っていないか、血液が溜まっていないかを調べる検査が行われます。
必要に応じて、出血による貧血の有無や細菌感染の可能性を調べるため、血液検査が行われます。
治療
通常、子宮収縮剤の投与が行われます。軽症であれば、1週間程度で治りますが、出血量が多い場合は入院が必要になることもあります。
子宮内に溜まった血液が多い場合は、血液をかき出す処置が行われることがあります。また子宮内に感染症の疑いがある場合は、抗菌薬(飲み薬や点滴)の投与が行われます。
セルフケア
病後
授乳時に脳から分泌されるオキシトシンが子宮の収縮を促進する作用があることから、予防や再発防止策のひとつとして、授乳をすすめられることもあります。その際は、母乳指導を受けてみることも大切でしょう。
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美