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前置胎盤
ぜんちたいばん

最終編集日:2022/6/7

概要

胎盤は母体から胎児に酸素や栄養、血液などを送る大切な役割を担っています。この胎盤が正常より低い位置(膣に近い側)についてしまい、子宮の出口(内子宮口)の一部、もしくは全部を覆っている状態が前置胎盤です。

前置胎盤と診断されても、その後、子宮が大きくなるにつれて胎盤の位置が上がっていくこともあります。妊娠後期になっても胎盤が上がらず前置胎盤と確定診断された場合の出産は、帝王切開で行われます。


原因

前置胎盤は、受精卵が通常の位置ではなく、内子宮口の近くにたまたま着床したことによると考えられていますが、その原因は明らかになっていません。

高齢妊娠、[多胎妊娠]、喫煙者などに発生しやすいといわれています。また、過去に人工妊娠中絶、[子宮筋腫]摘出、[帝王切開]分娩など子宮内の手術を受けて子宮内膜に傷がある場合、傷の部分に受精卵が着床し胎盤の位置が低くなるのではないかともいわれています。


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症状

ほとんどが無症状なので、妊婦健診の超音波検査で発見されます。

前置胎盤で注意しなければならないのが、痛みを伴わない性器出血です。とくに28週目以降は腹が張る(子宮が収縮する)ことが増えるので出血しやすくなります。出血した場合は、その量にかかわらず、すぐに主治医に相談しましょう。


検査・診断

経腟超音波検査で胎盤の位置と子宮口の位置を確認することで診断します。

胎盤の位置の検査は20週前後に行うことが多いのですが、この時期に前置胎盤が疑われても、その後妊娠が進み子宮が大きくなると徐々に胎盤の位置が上がっていき、最終的には前置胎盤でなくなることが多いのです。妊娠32週以降は胎盤の位置が変わることはほぼないので、31週末までに前置胎盤かどうかを確定診断します。 

前置胎盤と診断されると、胎盤と子宮口の位置関係によっていくつかに分類されます。

胎盤の縁が子宮口にかかっている状態で内子宮口はふさいでいない「辺縁前置胎盤」、胎盤が内子宮口の一部をふさいでいる状態の「部分前置胎盤」、胎盤が内子宮口を完全にふさいでいる状態の「全前置胎盤」があります。

ほかにも「低置胎盤」と呼ばれる胎盤が子宮口近くに付いてはいるが、内子宮口に達していない状態があります。

前置胎盤は胎盤が内子宮にしっかりついてはがれない「癒着胎盤」となるケースが、一定数見られます。前置癒着胎盤を調べるためにMRI検査を行う場合もあります。

治療

前置胎盤の場合、妊娠後期に突然、大量出血をすることがあるため、予防的に入院をすすめられるケースがあります。入院中は子宮が収縮しにくいように安静にし、必要があれば子宮収縮抑制剤を点滴するなどします。

経腟分娩できるケースもありますが、多くは帝王切開での出産になります。胎盤が子宮口の一部、または全部をふさいでいる状態では、物理的に胎児が産道を通ることができません。

帝王切開は33~34週頃から自分の血液をストックしておく「自己血貯血」を2~3回行うことも多く、輸血準備など万全の態勢を整えてから手術に臨みます。通常37週目末頃までに行いますが、帝王切開の予定日より前に出血した場合、胎児の発育具合や出血量を考慮のうえで緊急の帝王切開を行うケースもあります。また帝王切開の際に、前置癒着胎盤などで大量出血した場合には、母体と胎児を守るために子宮を摘出することがあります。


セルフケア

療養中

前置胎盤と診断されたらできるだけ安静にすることが大切です。運動や性交渉などは控え、医師の指示に従いましょう。

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監修

JR東京総合病院 産婦人科 医長

松浦宏美