食道がんしょくどうがん
最終編集日:2022/1/11
概要
食道がんは、のどの入り口から胃までをつなぐ食道にできるがんです。食道の中央部(胸部食道)に発生しやすく、食道がん患者の半数以上がこれにあたります。早期には症状が出にくいため発見が遅れがちですが、進行は速く、周囲の気管や大動脈、心臓、肺などの臓器やリンパ節への転移が起こることも少なくありません。ほかのがんと同様に加齢とともにかかりやすくなる病気です。女性よりも60~70歳代の男性に多くみられます。
原因
食道がんのリスク原因はおもに飲酒と喫煙です。飲酒によって、体内に発生するアセトアルデヒドは発がん性物質として知られていますが、この物質を分解する酵素の働きが弱い人は、食道がんにかかりやすいということが報告されています。この体質をもつ人は、少量のアルコールでもすぐに顔が赤くなってしまうという特徴があり、こうした体質の人がアルコールに慣れて飲酒量が増えたり、飲酒が習慣化してしまったりすると発症リスクが高まるため、注意が必要です。
たばこの煙も多くの発がん物質を含んでいます。飲酒と喫煙の両方の習慣がある人は、食道がんにかかるリスクがより高いといえます。また、食事の際に熱いものを好んで食べたり飲んだりすることも、食道がんを発症する危険性を高めるという報告があります。
症状
初期症状はほとんどありません。がんが進行すると、食べ物が飲み込みにくい、熱いものを飲み込むときにしみるなどの症状が出てきます。また、がんが周囲の臓器やリンパ節にまで広がると、胸の奥や背中に痛みを感じることがあります。大きくなったがんが声帯を動かす神経を圧迫すると、声がかすれたり、せきが出たりすることもあります。食べ物を飲み込みにくいような状態が長くつづくと、食欲がなくなり体重が減るなどの症状も現れます。
検査・診断
食道がんの検査には、バリウムを飲んでX線写真を撮影する上部消化管造影検査と食道内視鏡検査があります。がんが見つかった場合には、その深さや発生部位、周囲の臓器やリンパ節に転移していないかなどを調べるために、CT検査、MRI検査、PET-CT、超音波検査などの画像検査や、腫瘍の一部を切除する病理検査を必要に応じて行います。
治療
食道がんは、がんが粘膜の表面にとどまっている早期がん、粘膜下層まで浸潤している表在がん、それ以上深い層まで浸潤している進行がんに分けられます。こうした進行度合いを確認したうえで、段階にあわせた治療が行われます。
早期がんでは、内視鏡による治療を行い、経過観察を行うのが一般的です。表在がんや進行がんでは、大きさやリンパ節転移の有無などに応じて手術療法や放射線療法、抗がん剤を投与する化学療法を行います。
セルフケア
予防
飲酒と喫煙に発症リスクがあることがわかっています。予防のためには禁煙し、飲酒は適量とし、週に1日は休肝日を設けましょう。野菜や果物をとることは食道がんの予防に効果があるため、食事のバランスにも気を配ることです。
熱いものを好んで食べたり飲んだりすることは食道がんの発症リスクを高めるといわれているため、熱すぎるものは控えめに。食べ物を飲み込むときなどに少しでも違和感があったら、できるだけ早めに医師の診察を受けるようにしましょう。食道がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、早期発見のためにも健康診断などを定期的に受けることが大切です。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三