膵臓がんすいぞうがん
最終編集日:2022/1/11
概要
膵臓は横に細長く、十二指腸側の頭部と脾臓(ひぞう)側の尾部に分けられますが、がんが発生しやすいのは頭部で、約8割を占めています。早期発見はむずかしく、黄疸(おうだん)などの症状が現れたときにはすでに進行していて手術ができない例も少なくありません。
ほかの臓器や血管に囲まれているため、がん細胞が血管やリンパ管に広がりやすく、転移しやすいがんです。近年の食生活の変化により増加傾向にあり、治療はむずかしく死亡率が高いがんです。
原因
膵臓がんをひきおこす原因はわかっていません。ただし糖尿病や肥満などの生活習慣病、過剰飲酒などによる慢性膵炎、喫煙に加え、遺伝的な要因もあるとされています。
これまで日本ではあまり多い病気ではありませんでしたが、食生活の欧米化で脂肪分の多い食事を好む人が増えたことで、発生数が増加したと考えられています。
糖尿病の人は膵臓がんを発症しやすいという研究データもあります。血縁親族に膵臓がんの人が2人以上いる場合は、家族性膵臓がんとみなされます。3人以上いる場合は、50歳以下の若年期に発症するリスクが高まるともいわれます。
心あたりがある場合は、自覚症状がなくても定期的にがん検診などを受けるようにしましょう。
症状
初期段階では症状が出にくく、気づきにくいのが膵臓がんです。進行すると腹痛や背中の痛み、食欲不振、全身の倦怠感、体重減少などの症状が現れます。
膵臓には、血糖のコントロールに必要なホルモンである、インスリンなどを分泌する働きがあり、がんが発生することで膵臓の機能が低下します。その結果、インスリンの分泌量が減り、糖尿病が発症したり悪化したりすることをきっかけに、膵臓がんが見つかることもあります。
がんが膵臓のどこに発生したかによっても現れる症状が違います。膵臓頭部ならば黄疸が現れますが、膵臓尾部なら腹痛や体重減少の症状がみられ、黄疸は現れません。
検査・診断
血液検査や超音波検査で異常が認められ、膵臓がんが疑われる場合には、CT検査、MRI検査、超音波検査、超音波内視鏡検査などの画像検査を行います。これらの検査で診断がむずかしい場合には、内視鏡的逆行性膵管造影検査やPET検査などが行われます。
また、内視鏡や腹腔鏡で腫瘍の一部を採取し顕微鏡で観察する生検を実施することもあります。複数の検査結果から総合的に判断して診断を下します。
治療
膵臓がん治療は手術療法が中心ですが、進行状況によっては手術できないケースが少なくありません。
膵臓がんの進行度は1~4期に分類され、比較的早期の1期と2期ならば手術を行い、進行した3期と4期は手術を行うことは困難なので、抗がん剤による化学療法や放射線療法を行うのが一般的です。
手術ができると判断された場合でも、まず化学療法でがんを小さくしてから手術することもあります。また手術後に再発予防として化学療法を行うなど、がんの進行度やからだの状態を考えて、適切な治療法を選択していきます。
近年は開腹手術よりからだに負担の少ない腹腔鏡手術による治療も増えています。
セルフケア
予防
糖尿病や肥満などの生活習慣病は、膵臓がんをひき起こす危険が高いとされています。膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)を中心に膵臓の嚢胞性腫瘍ががん化することも多く、それらを有する人は厳格な経過観察が必須です。また、慢性膵炎も膵臓がんのリスクと考えられています。これらの病気を予防することが膵臓がんの予防にもつながります。
また、肉中心の食事や脂質の多いメニューは避け、野菜を積極的にとり、バランスのよい食事を心がけましょう。カフェインや香辛料などの刺激物、アルコールのとりすぎも膵炎の原因になります。また、禁煙はがんの予防に効果があります。
また日頃から適度な運動をして適正体重を保つことも大切です。膵臓がんは早期発見がむずかしいがんです。人間ドックなどの健康診断を定期的に受け、気になる症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三