肝臓がんかんぞうがん
最終編集日:2022/1/11
概要
肝臓に発生するがんです。肝臓の細胞ががん化したものが「肝細胞がん」で、肝臓のなかを通る胆管ががん化したものを「肝内胆管がん」といいます。肝臓がんという場合、通常は肝細胞がんのことを指します。
肝臓内の細胞から発生する原発性肝臓がんと、肝臓以外の臓器で発生し、肝臓に転移した転移性肝臓がんの2つに大別されます。
罹患者は男性が多く、50歳代から増加し始めます。肺がん、胃がんに次いで多いがんですが、おもな原因であるC型肝炎の予防治療が普及し、減少傾向にあります。
原因
肝臓がんのおもな原因は、B型肝炎ウイルス、もしくはC型肝炎ウイルスの持続感染によるもので、これまでは原因の約8割を占めていました。近年では、抗ウイルス療法によって肝炎ウイルスを体内から排出できるようになったため、ウイルス性肝炎が原因の肝臓がんは少しずつ減ってきています。
ウイルス感染以外では、喫煙や長年の多量飲酒、肥満などがリスク要因として挙げられています。そのほか糖尿病、脂肪肝なども要因として注目されています。
症状
肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれ、炎症やがんが発生していたとしても初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
がんが進行した場合は、腹部のしこりや圧迫感、痛みなどの症状が現れる場合があります。
検査・診断
肝臓がんが疑われる場合には、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像診断を行います。腹部超音波検査では、がんの大きさや個数、位置、がんの広がり具合のほか、肝臓の形や状態、腹水の有無などを調べます。CT検査、MRI検査では、がんの性質や周囲の臓器への広がりなどを確認します。加えて血液検査で腫瘍マーカー値を測定し、その数値と画像診断の結果をあわせて診断を確定します。治療方針を決めるために血液検査で肝機能を調べたり、必要に応じて、腹部の造影検査やがん細胞の一部を切り取って顕微鏡で調べる生検を実施します。
治療
がんの大きさやほかの臓器への転移の有無、肝硬変の程度などから治療方法を検討します。根治治療としては手術療法が望ましく、手術できない場合には放射線療法や化学療法が選択されます。
手術には、がんとその周囲を切り取る肝切除手術が基本となりますが、がんの大きさや個数によっては、ラジオ波焼灼療法(RFA)や、エタノールを注入する経皮的エタノール注入療法(PEIT)、また、抗がん剤と塞栓物質を肝動脈に注入してがんに送られる酸素や栄養を遮断する肝動脈化学塞栓療法(TACE)などの治療法もあります。
セルフケア
予防
過剰な飲酒や喫煙はがん発症の要因となります。予防のためには禁煙し、飲酒は適量を心がけてください。週に1日は休肝日を設け、バランスのよい食事をとるようにしましょう。
B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの持続感染が発症のリスクを高めるため、これらのウイルス感染を検査することが早期発見につながります。B型、C型肝炎ウイルスに感染している人や、肝炎ウイルス感染を伴わない肝硬変と診断された人は、3~6カ月ごとに腹部超音波検査などの画像検査と腫瘍マーカー検査を行うとよいでしょう。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三