多発性筋炎たはつせいきんえん
最終編集日:2022/1/11
概要
多発性筋炎は、からだを動かすために使う骨格筋に炎症が生じる疾患です。筋肉に力が入りにくくなったり、筋肉を動かしたときに痛みが生じたり、疲れやすくなったりします。
関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどと同様に、自己免疫疾患である膠原病のひとつで、国の難病に指定されているので、医療費の補助を受けることができます。
発症年齢は50代前後が中心で、5~14歳頃の小児から思春期にかけても多く発症します。女性患者の数は男性の約3倍に上り、女性に多い傾向があります。現在日本では発症数が増加傾向にあるといわれています。
多発性筋炎と同じ筋肉の症状があり、特徴的な皮膚の症状も現れるものは皮膚筋炎と呼ばれ、区別されます。
原因
多発性筋炎の原因はまだはっきりとわかっていません。本来、からだを守るはずの自己免疫が攻撃してしまう自己免疫疾患の1つです。
発症のきっかけとして考えられるのは、生まれつきの体質、ウイルスや細菌などへの感染、喫煙や薬物など、ほかにも生活環境に関するさまざまな要因が指摘されています。また多発性筋炎は遺伝する疾患ではないものの、免疫の異常を起こしやすい体質は遺伝すると考えられています。
症状
症状は、筋肉の炎症部位によりさまざまですが、物を持ち上げたり、起き上がったり、階段の上り下りなどの日常生活動作が困難になっていきます。とくに太ももや二の腕、首など胴体に近い部分の筋肉に症状が出やすくなります。
進行するとからだに力が入らなくなり、疲れやすくなったり、筋肉を動かしたときに痛みを感じたりすることが多くなります。
ほかにも、関節痛、せきや息切れ、動悸、脈の乱れ、発熱や食欲不振による体重減少など、人によって多様な症状がみられます。また、同じ自己免疫疾患である間質性肺炎と合併することがあり、息切れや乾いたせき、息が吸いにくいなどの症状が生じます。
間質性肺炎は急速に悪化すると命にかかわることもあるため、早期発見と治療が重要です。
検査・診断
検査では身体診察に加えて筋力検査を行い、筋力の衰えについて調べます。多発性筋炎の疑いが高まると、筋肉の炎症部位や程度をみるためのMRI検査、さらに筋炎に特有の酵素の値の上昇や自己抗体の有無などを確認するための血液検査を行います。
診断の確定には、筋肉に微弱電流を通して筋肉の状態をみる筋電図や、筋肉の組織の一部を採取する筋生検を実施します。多発性筋炎は筋肉だけでなく、肺や心臓などの臓器が障害されることもあるため、必要に応じて胸部X線検査、心電図検査、胸部CT検査、心臓超音波検査などを行い、さらに、間質性肺炎や悪性腫瘍を合併していないかを調べるための検査を行う場合もあります。
治療
基本は薬による治療で、一般的にはステロイド薬を内服し、状態をみながら少しずつステロイドの量を減らしていく治療を行います。
ステロイド薬ではあまり改善しなかったり、副作用などがあり投与量を減らしたい場合は、免疫抑制薬を併用したり、免疫グロブリンの点滴を行うケースもあります。
多発性筋炎は筋力が低下する疾患であるため、薬による治療とともに早期からのリハビリテーションが重要です。近年、リハビリテーションにより、筋肉の炎症を抑える効果や筋肉内のエネルギーを産生するミトコンドリアの機能が改善する効果があることがわかってきています。そのため、早期から病状に応じたリハビリテーションを行っていくことが重要であるといえます。
セルフケア
療養中
筋力の回復のために、薬による治療と同時にリハビリテーションは大切ですが、無理をするとかえって症状が悪化することもあるため、医療スタッフの指導の下で行うことが大切です。また、日常生活では体力維持のため、かぜなどをひかないように気をつけ、栄養バランスのとれた食生活で体重管理を心がけましょう。
病後
筋力の回復のために、薬による治療と同時にリハビリテーションは大切ですが、無理をするとかえって症状が悪化することもあるため、医療スタッフの指導の下で行うことが大切です。また、日常生活では体力維持のため、かぜなどをひかないように気をつけ、栄養バランスのとれた食生活で体重管理を心がけましょう。
監修
昭和大学医学部脳神経外科 名誉教授
藤本司