乳頭がんにゅうとうがん
最終編集日:2021/12/21
概要
乳頭がんは甲状腺がんのひとつであり、日本においては、甲状腺がんの約90%を占めています。乳頭という名称は、胸にある乳腺とは関係がなく、このがん細胞が乳頭のような形をしていたことから名づけられました。
乳頭がんは、予後がよい、進行が遅い、治りやすいという特徴から危険度が低いと考えられていて、性格がおとなしいがんといわれています。
原因
乳頭がんの原因は不明です。ただし2~5%の確率で家族内発症があります。
症状
初期症状はほとんどありません。がんが大きくなるにつれて、甲状腺のしこり、リンパ節の腫れなどがみられるようになります。乳頭がんは進行すると、反回神経(声を出す神経)を圧迫して声のかすれを起こしたり、気管に浸潤して食べものの飲み込みづらさが現れたりします。声帯を動かす神経が麻痺した場合は、むせやすくなります。
検査・診断
乳頭がんの検査では、血液検査(甲状腺機能の検査)、病理検査(細胞診)、頸部超音波検査(エコー検査)、喉頭ファイバースコープ検査(声帯麻痺の有無、喉奥の観察)、頸部CT検査、PET検査(全身転移検査)などが行われ、診断が確定されます。
治療
乳頭がんの治療は通常、手術療法です。
がんの広がりの程度によって甲状腺全摘術か甲状腺葉峡部切除術が選ばれます。腫瘍の切除に加えて甲状腺周りのリンパ節摘出、頸部リンパ節転移がある場合は頸部郭清(けいぶかくせい)が行われます。ただ1㎝以下の小さな乳頭がんでは経過観察になる場合もあります。
甲状腺全摘術後には、状態によってTSH抑制療法(腫瘍を成長させるTSHというホルモンの分泌を抑制する)やホルモン治療(甲状腺ホルモンを多めに内服してTSHを低い値に保つ)などの追加治療が行われます。
セルフケア
療養中
乳頭がんの術後の予後は、10年生存率が90%以上です。
甲状腺をすべて摘出した場合は、その後甲状腺ホルモンをずっと服用します。甲状腺の裏にある副甲状腺を一緒に摘出した場合は、ビタミンD製剤を服用します。ビタミンD製剤だけでカルシウムが維持できない場合はカルシウム製剤が使われます。
監修
医療法人青泉会下北沢病院糖尿病センター長
富田益臣