肝炎かんえん
最終編集日:2022/1/11
概要
ウイルス、アルコール、薬物などによって肝臓に炎症が生じる病気です。初期段階では自覚症状が現れにくく、気づいたときには進行し悪化しているケースが多いようです。肝硬変や肝臓がんに進行してしまう可能性があるため、早期の治療が重要です。
原因
肝炎を起こす原因は、ウイルス、アルコール、薬物、免疫異常などさまざまです。
●ウイルス性肝炎
おもな原因は、肝炎ウイルスです。A型~E型まであり、多いのはB型とC型で、血液を介して感染します。輸血や性交渉、母子感染などがありますが、カミソリや歯ブラシを共用したり、不衛生な環境でピアスの穴を開けることでも感染の可能性があります。
A型とE型は、ウイルスに汚染された水や食べ物を摂取することで感染します。
●アルコール性肝炎
多量のアルコールを長年、摂取しつづけることで発症します。
●薬物性肝炎
薬物や化学物質などによって発症します。薬物が直接肝臓を破壊する中毒性のものと、薬物がアレルギーを起こして発症するものがあります。
●自己免疫性肝炎
自分の免疫細胞が自分自身を攻撃してしまうことで発症します。
●非アルコール性脂肪肝炎
原因が特定できない肝炎もあります。肥満、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病が要因となって発症すると考えられています。
症状
細胞の再生力が強い肝臓は、炎症が起きてもすぐに症状が現れることはありません。何らかの症状が出たときには、かなり進行していることが多いのはこのためです。
症状には、全身の倦怠感、食欲低下、発熱、吐き気、疲れやすさなどがあります。かぜのひきはじめと同じような症状であるため、かぜと勘違いしてしまうことも少なくありません。進行してくると白目や皮膚が黄色くなる黄疸が現れます。
肝炎には、急激に炎症が進む劇症肝炎があり、劇症肝炎になると、浮腫や腹水、血圧低下、出血などの症状が現れます。さらに肝性脳症を発症し、意識障害を起こすこともあります。劇症肝炎はすぐに処置をしなければ、最悪の場合、命を落とすことにもなりかねません。
検査・診断
血液検査で診断します。具体的にはAST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビン、アルブミンなどの数値から肝機能の異常を知ることができます。
肝炎の原因としてウイルス感染が疑われる場合は、ウイルスマーカー検査を行います。ほかにも超音波検査やCT検査、MRI検査などの画像検査、肝臓から組織を採取して顕微鏡で調べる病理検査(肝生検)などが行われます。
治療
原因に合わせた治療を行います。
●ウイルス性肝炎の場合
ウイルスの型にあわせた抗ウイルス薬を使って、ウイルスの増殖を抑えます。
●アルコール性肝炎の場合
アルコール摂取量を減らすことが重要です。アルコール依存症になっていることも多く、入院のうえ食事療法とともに禁酒指導が行われます。
●薬物性肝炎の場合
原因となっている薬がわかればその服用を中止します。場合によっては胃洗浄などの処置がとられることもあります。
●自己免疫性肝炎の場合
ステロイド薬を使って炎症を抑えます。ステロイド薬が使えない場合には、免疫抑制薬であるアザチオプリンが使われます。
●非アルコール性脂肪肝炎の場合
糖尿病や脂質異常症などの治療や、肥満を解消するための食事指導などが行われます。また、運動療法も取り入れながら体重をコントロールします。
●劇症肝炎を起こしている場合
肝移植が検討されます。
セルフケア
病後
定期的に診察に通い、肝機能の数値を把握し、再発しないように気をつけましょう。
予防
ウイルス性肝炎は、肝炎ウイルスに感染することで発症します。B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染するため、他人の血液には触らないことが大切です。歯ブラシやカミソリからも感染するため、他人との共用はやめましょう。
性交渉での感染も多いため、性交渉ではコンドームを使用しましょう。
A型肝炎、B型肝炎はワクチン接種で予防することができます。
アルコール性肝炎の予防には、飲酒量をコントロールすることが大切です。1日の飲酒量を守り、週2日は休肝日をつくりましょう。
原因が明らかでない肝炎も増えていますが、これには生活習慣病が深く関係していると考えられています。バランスのよい食事と、適度な運動で肥満を解消してください。
監修
鳥居内科クリニック院長
鳥居明