喉頭がんこうとうがん
最終編集日:2022/1/11
概要
喉頭がんは「のどぼとけ」の部分にできるがんです。喉頭では、入ってきた空気を気管へ、飲食物は食道へと振り分けます。がんが発生する部分によって、「声門がん」「声門上部がん」「声門下部がん」に分けられます。喉頭がんの半数以上が声門がんです。発症率は10万人に3~4人で、圧倒的に男性が多いのが特徴です。
原因
喉頭がんの発生には喫煙と過度の飲酒が大きくかかわっています。日常的にたばこや酒を摂取することで常に喉頭に負担をかけているため、喫煙や飲酒の量が多い人ほど喉頭がんの発症リスクが高まります。実際に喉頭がん患者の9割は喫煙者で、喫煙と飲酒の両方の習慣がある人は、より危険性が高くなります。
喉頭を酷使するような職業の人や、アスベストを使用する職業の人も発症リスクが高いといわれています。また、喉頭にひんぱんに刺激が加わる逆流性食道炎などの病気も、発症の要因と考えられています。
症状
喉頭がんは、がんが発生した場所により初期症状や進行の状態が異なります。気になる症状があれば早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
●声門がん
声帯にできるため、早い時期から声がれの症状が現れます。低いガラガラ声、雑音が混じるようなザワザワした声、息がもれるような声がつづくようなら、医療機関を受診しましょう。やがて声門が狭くなることによる息苦しさや血痰がみられるようになります。
●声門上部がん
のどのイガイガした異物感、飲食物が飲み込みづらいなどの症状が現れます。がんが声帯に広がると声がれが起こり、息苦しさも出てきます。初期はかぜのような症状のため、発見が遅れることも少なくありません。
●声門下部がん
進行すると声がれや息苦しさが起こります。初期の段階では自覚症状が現れないため、発見が遅れがちになります。
検査・診断
喉頭鏡や喉頭ファイバースコープを挿入して声門のあたりに腫瘍がないかどうかを確認します。これらの検査で喉頭がんが疑われた場合は、腫瘍の一部を採取して良性か悪性かの病理検査を行います。がんと確定した場合には頸部(けいぶ)リンパ節への転移を調べる超音波(エコー)検査や、がんの進行具合やほかの臓器への転移の有無などを調べるCT検査、MRI検査などが行われ、さらにくわしく調べます。
治療
治療方針はがんの進行の程度や年齢、からだの状態などを考慮して決められます。喉頭がんの進行状態は、がんの広がり、頸部リンパ節に転移したがんの大きさと個数、離れた臓器への転移の有無などによって判断されます。治療法は患者さんの希望にそって医師とともに決めていくことが多く、食事をしたり声を出したりする機能を温存するかどうかといったことが重要視されます。
●早期の場合
放射線または喉頭を残すことができる喉頭部分切除手術(喉頭温存手術)で治療することが可能です。声帯を一部残すことができる手術なので声を失うことはありません。
●進行している場合
以前は喉頭すべてを取り除く喉頭全摘出手術が中心でした。しかし最近は、声を残すことも重視し、喉頭の3/4 を切除する手術や、放射線療法と化学療法(抗がん剤)を併用した治療法を選ぶこともできるようになりました。また、人工の発声器具や食道発声などの代替音声で声を補うことも可能になってきています。
セルフケア
病後
気になる自覚症状がある場合はすぐに専門医に相談し、早期の発見、治療につなげましょう。喉頭がんは治療後2年以内に再発することが多く、それを過ぎると再発のリスクは緩やかに減少していきます。このため治療後2年以内は継続的な受診が必要で、5年間は経過観察が行われます。担当医の指示に従い、きちんと通院しましょう。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三