味覚障害みかくしょうがい
最終編集日:2022/1/11
概要
「何を食べても味を感じない」「苦味を甘く感じる」など、本来の味がわからなくなったり、味覚の感度が低下したりする状態が味覚障害です。
舌の表面や付け根、軟口蓋(なんこうがい:上あごの奥)の表面には味覚を感じる細胞が集まった味蕾(みらい)という感覚器官があります。味の感覚は、この味蕾から神経を通じて、脳に伝達されます。そのため、何らかの原因で味蕾や神経、脳に異常が起こることで、味覚障害が生じます。
原因
口のなかや舌の異常によって発症するケースがほとんどです。
おもな味覚障害の原因は、亜鉛不足、鉄分不足、唾液の分泌機能を低下させるシェーグレン症候群、薬剤性口腔乾燥、老化による味覚機能の低下などです。薬の副作用、口内炎、歯周病、かぜ症候群、新型コロナウイルス感染症が要因となることもあります。
まれに脳腫瘍や脳外傷など、うつやストレスなど心因性の病気によって起こることもあります。
症状
甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の5つの基本感覚が低下します。味をまったく感じないこともあれば、甘味を苦味、塩味を甘味と判断するような、本来の味とは違った味を感じることもあります。口のなかに食べ物がなくても、苦味や塩味、渋みを感じるようなことも少なくありません。
味覚障害を発症すると、食欲減退、偏食などにつながり、栄養に偏りが生じることもあります。腐った食材を気づかずに口にしてしまう危険性も伴います。発症から時間がたつと治りにくくなるため、味覚異常を感じたらすぐに受診しましょう。
検査・診断
耳鼻咽喉科や味覚専門外来などで問診、舌の視診、触診を行います。そのうえで塩味、甘味、酸味、苦味の4つの味をつけたろ紙を舌の上に置き、味の感覚を調べるろ紙ディスク検査や、わずかな電気刺激で神経の伝達について確かめる電気味覚検査、溶液を口に含み、味をあてる全口腔検査などを行います。
必要に応じて、亜鉛の値や鉄の欠乏具合を診断する血液検査、臭覚検査などを並行することもあります。脳の病気の恐れもあるため、場合によってはCT検査やMRI検査を実施します。
治療
味覚障害の原因により治療方法は異なります。原因が貧血の場合は鉄剤を、亜鉛不足の場合は亜鉛を補う亜鉛補充療法(飲み薬)で治療します。また、舌炎、口内炎が原因の場合は外用薬(塗り薬)などを使用し、歯周病が原因の場合は歯石除去をするなど、根本的な要因を取り除きます。
味を感じるには水分を必要とするため、唾液の分泌量が減少する病気の場合は、人工唾液や唾液分泌促進剤を投与します。うつや不安症など心因性の場合は、抗不安薬や抗うつ薬などで治療を進めます。
セルフケア
予防
味蕾の新陳代謝を促す亜鉛や水分をしっかり摂取することが大切です。肉類、魚介類、種実類、穀物といった亜鉛を多く含む食材を意識的にとるようにしましょう。
ほかにもビタミンB12、B2、鉄分も味蕾の心身代謝を活発にします。また、唾液の分泌量が少ない人は唾液腺のマッサージをすることもおすすめです。
監修
新高円寺はっとり歯科医院院長
服部重信