肺がんはいがん
最終編集日:2022/1/11
概要
肺がんは肺にできたがんで、気管支や肺胞の細胞が何かの原因によってがん化したものを原発性肺がんといいます。がんが進行すると、周囲の組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液を通してほかの臓器に転移することもあります。反対にほかの臓器に発生したがんが肺に転移したものは、転移性肺がんです。
日本人の2人に1人はがんになる時代だといわれていますが、肺がんは大腸がん、胃がんに次いで3番目に患者数が多く、年間約8万人が罹患しています。がんのなかでもっとも死亡数が多いがんです。
原因
肺がんを発症するもっとも大きな原因はたばこです。非喫煙者のがんリスクを1とすると、喫煙している男性のリスクは、がん全体では1.6倍ですが、肺がんに限ると4〜5倍、喫煙している女性のリスクはがん全体で1.5倍、肺がんに限ると4.2倍になります。自分がたばこを吸わなくても身近に喫煙者がいると、たばこの副流煙を吸うことによって発症リスクが高まります。
たばこ以外の原因として挙げられるのは遺伝です。家族に肺がん歴がある人はない人にくらべて約2倍リスクが高く、肺がんになる傾向が高まります。遺伝の場合、性別では男性より女性のほうが罹患率が高いとされています。

症状
肺がん特有の症状はありません。症状が現れないまま進行しているケースもあります。せき、たん、倦怠感、息苦しさ、体重減少、胸痛などが挙げられますが、いずれも肺がん以外の呼吸器系疾患にもみられる症状です。
なお、血痰は肺がんの可能性が高いので専門医院を受診することをおすすめします。
検査・診断
肺がんであるかどうかを調べる検査として、胸部X線検査、たん検査などがあります。肺がんの疑いがある場合は精密検査として、気管支鏡を使った細胞検査、胸部CT検査を行います。最近では、詳細にCT検査で調べ、がんの疑いが高い場合は気管支鏡をせずに、診断と治療を兼ねて手術を行うことが多いようです。
肺がんと診断された後は、進行の度合いを調べるために全身CT検査、PET検査、脳MRI検査、超音波検査などが行われます。それぞれの検査結果から、肺がんの種類(小細胞がん、扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんなど)を明らかにします。
治療
がんが発見された段階ですでに脳や骨などへの転移がある場合は、抗がん剤による化学療法が行われます。
転移がない場合は抗がん剤と胸部放射線照射を組みあわせて治療が行われます。
手術がむずかしい場合は、まず放射線治療を行い、その後に抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを使った化学療法を中心に行います。
セルフケア
予防
いちばんの予防法はたばこを吸わないことです、喫煙者は禁煙を、非喫煙者は他人のたばこの煙を避けることが大切です。過度な飲酒もリスク要因になります。ほどほどの酒量にしましょう。
かつては化学物質であるアスベストの吸引が肺がんの原因になると話題になりました。現在、アスベストの使用は全面的に禁止されていますが、アスベストは吸引後、15~40年の潜伏期間を経て肺がんを発症することがわかっています。したがって、過去に家や職場の近くにアスベストを扱う工場があった、あるいはアスベストを扱う仕事をしていた、生活環境にアスベストがあったという人は、1年に1回、胸部X撮影などによる健康診断を受けることをおすすめします。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三