洞不全症候群どうふぜんしょうこうぐん
最終編集日:2022/1/11
概要
洞不全症候群は、脈が遅くなる徐脈性不整脈の一種です。心臓を拍動させるための刺激を生み出し、脈拍数を維持する洞結節の働きに異常が生じ、徐脈が起こり、脳の血流低下による、めまい、ふらつき、失神といった症状が現れます。洞不全症候群は、①持続する洞性徐脈、②洞停止(洞結節の電気信号が一定期間停止する)または、洞房ブロック(電気信号が洞結節から心房に伝わらない)、③徐脈頻脈症候群(頻脈性不整脈の停止直後に電気信号が出ない)の3つに分類されます。
原因
洞不全症候群は洞結節の働きが低下する状態ですが、その原因は不明です。副交感神経のひとつで洞結節の刺激の発生数を低下させる迷走神経が高ぶった状況(スポーツ選手など)に陥ることや、虚血性心疾患などにより洞結節への血流障害が生じることが原因で発症することもあると考えられています。心筋症、心筋炎、リウマチ性心疾患、膠原病、高血圧症などに伴って発症することもあります。
また、甲状腺機能低下症、腎機能障害などによる高カリウム血症、頭蓋内出血などによる頭蓋内圧亢進、低体温などの影響を受けて発症することもあり、薬物(β遮断薬やジギタリス、モルヒネ、抗不整脈薬など)が誘因となって顕在化するケースもあるとされています。
症状
洞不全症候群で脈が遅くなっている状態であっても、必ずしも症状が現れるわけではありません。脈拍数や脈の変化の状況、併発する不整脈などによっても症状は異なります。通常、心拍数は1分間に60~100回ほどであり、からだの動きなどによって変化しますが、洞不全症候群では心拍数が上昇せず、そのため必要な量の血液を補えず、息切れや疲労感が生じます。安静時にも呼吸困難などの症状が現れる場合があり、狭心症、全身の倦怠感、乏尿などが起きることもあります。
洞不全症候群には、突然脈が止まってしばらく心臓が活動しなくなるタイプもあり、長い間(10秒以上)脈が止まる場合には、脳に血液が十分供給されなくなるため失神の症状が現れます。
検査・診断
脈が遅くなる徐脈と脳の虚血症状などの両方が認められれば洞不全症候群も疑われます。診断には、ホルター心電図検査や心臓内にカテーテルを挿入して心臓の各部位での電気活動を観察する心臓電気生理学的検査などが行われます。
治療
洞不全症候群と診断されても、治療の必要性や方法は検査結果や症状に応じて異なります。
脈が極度に遅く、そのために失神やふらつきなどの症状がある場合にシロスタゾール(プレタール)が有効なこともありますが、一般にはペースメーカーを埋め込みます。発作的頻拍の停止時に心拍が6~10秒出てこない徐脈頻脈症候群が認められる場合には、カテーテルアブレーションをするか、ペースメーカーが使われることもあります。
セルフケア
予防
引き込まれるようなめまいやふらつきなど脳の虚血症状を自覚したら、倒れた際に頭部などをけがしないよう、横になるか、しゃがみます。そして可能であれば脈を数えましょう。症状は前触れなく現れるのですぐに病院で診察を受ける必要があります。また、症状がくり返し起きる場合も受診が必要です。
監修
小田原循環器病院 循環器内科院長
杉薫