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動脈硬化症
どうみゃくこうかしょう

最終編集日:2022/1/11

概要

動脈硬化症とは、動脈の内側にコレステロールなどが付着して血管が狭く硬くなり、血液の流れが悪くなった状態です。糖尿病高血圧脂質異常症、肥満、喫煙などが原因で発症します。動脈硬化は全身の動脈に生じ、さまざまな健康障害を引き起こします。例えば、脳の血管に硬化が生じると脳梗塞、腹部大動脈に硬化が生じると解離性大動脈瘤など、命にかかわる病気につながることがあります。

原因

動脈硬化は、粥状硬化、中膜硬化、細動脈硬化の3種類に分類されます。もっとも多いのは粥状硬化で、大動脈や冠動脈などの内側に、コレステロールなどの脂肪からなる粥のようなどろどろとした物質(粥腫)がへばりついて盛り上がった状態になります。中膜硬化は動脈の中膜に石灰質がたまって骨化するもので、大動脈や下肢(足)、頸部(首)の動脈に起きやすく、細動脈硬化は脳や腎臓のなかの細い動脈が硬化して血流が滞ります。

動脈硬化の原因となる危険因子には、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、喫煙、高尿酸血症、肥満、運動不足、ストレス、体質(遺伝)などがあげられます。これらの危険因子は相互に関係していて、複数の因子が積み重なると雪だるま式に動脈硬化の危険性が高まるとされています。

症状

動脈硬化そのものに症状が現れることはありませんが、動脈硬化が全身の各所で進行した結果、その血管と結ばれた臓器に関連した症状が現れるようになります。とくに脳、心臓、下肢、腎臓、大動脈で起こりやすいといわれています。

●脳に関連した症状

脳で動脈硬化が起きると、めまい、頭痛、耳鳴り、記憶力の低下などのほか、短気になるなど認知症のような症状が出ることがあります。また、血管が詰まって血流が途絶えると脳梗塞を、もろくなった血管が破れると脳出血を起こします。

●心臓に関連した症状

冠動脈の硬化は、狭心症や心筋梗塞などの原因となり、その場合には、胸痛や胸の圧迫感などの症状が現れます。

●下肢に関連した症状

下肢の動脈で硬化が起きると閉塞性動脈硬化症を引き起こすことがあり、間歇性跛行という歩行障害が生じます。

●腎臓や大動脈に関連した症状

腎臓のなかで動脈硬化が起きると、腎不全に陥ることがあります。腹部大動脈の硬化は大動脈瘤の原因となり、破裂すると死亡にもつながる状態です。

検査・診断

動脈硬化は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満などを原因として発症するため、それらに関連した検査が行われます。おもに、血液検査や血圧、体重、腹囲の測定などです。

血圧測定で高血圧の有無を調べ、血液検査で血中のコレステロール、中性脂肪、糖、尿酸の量などを測定して、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症などの有無を調べ、血液の流れる速度(脈波伝搬速度)を測定して動脈硬化の程度を調べます。

また、動脈硬化の起こっている部位を特定するための検査が行なわれ、眼底検査により網膜に細動脈硬化が見られる場合には、ほぼ同程度の細動脈硬化が脳の動脈にも起こっている可能性があると推測されます。さらに、血管が狭くなっているかどうかを確認するため、超音波、CT、MRI、血管造影などの画像検査が行われ、部位によっては運動負荷検査やカテーテル検査も行われます。

治療

まずは、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙といった危険因子を取り除くことが重要とされています。各種の内服薬を組み合わせたり、食生活や運動習慣を見直したりして、動脈硬化の進行を抑えるようにします。喫煙者は禁煙します。

薬物療法としては、コレステロール値を低下させる薬がもっとも重要であり、血液をサラサラにして血流をよくするために抗血小板薬が使用されることもあります。高血圧や糖尿病などの基礎疾患に対する薬物療法も大切です。

狭くなっている血管を広げるための手術療法としては、カテーテルによるステント留置やバルーン拡張などが行われます。狭窄の程度が高い場合には、血管のバイパス手術が選択されることもあります。また、動脈の内側に溜まっている粥腫を剥がして取り出す内膜剥離術、動脈硬化を起こした血管の周りに新しく細い血管を創生させる低出力体外衝撃波治療、患者から採取した細胞を培養して移植する血管再生治療などが選択されることもあります。

大動脈で硬化が起き、動脈瘤ができたり動脈が裂けたりした場合には、血管を内側から補強するステントグラフト内挿術や人工血管置換術が行われます。

セルフケア

予防

動脈硬化症は、中高年になってから突然発症する病気ではありません。若い頃から無症状のまま徐々に進行し、血栓で血管が詰まり心筋梗塞の発作を起こすなど、命にかかわる状況に陥ってはじめて気づくことが多い怖い病気です。一方で、食事や運動などに気をつけ、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙といった危険因子を取り除くことによって予防することができる病気でもあります。30歳を過ぎたら、定期的に健康診断を受けて危険因子の有無をチェックするとともに、日頃から食事や運動などに気をつけ、危険因子を減らしていくように努めましょう。

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監修

小田原循環器病院 循環器内科院長

杉薫