気管支炎きかんしえん
最終編集日:2022/1/11
概要
気管支炎とは、気管と気管支(気管から枝分かれする気道)がウイルスや細菌などに感染して炎症が起こる疾患です。気管と気管支の炎症に基づく発熱、せき、たんなどのかぜ症状がみられます。鼻汁は上気道炎の症状になります。気管と気管支は下気道になります。
数日から数週間で治まる急性気管支炎と、3カ月以上症状がつづく慢性(遷延性)気管支炎に分けられます。気管支の末梢である細気管支に炎症が起きた場合は細気管支炎と呼ばれます。
急性気管支炎のほとんどはウイルスなどの感染によるものですが、慢性気管支炎の場合は感染症以外にもさまざまな原因があり、アレルギー、喫煙、大気汚染、化学物質などによって発症することもあります。
原因
急性気管支炎の多くは冬に発症しやすく、インフルエンザウイルスを含むウイルスやマイコプラズマなどの細菌による感染が原因です。一般的に細菌感染はウイルス感染に続発して起こります。ほかには煙や粉じんなどを吸い込んだことがきっかけで炎症が起こることがあります。
慢性気管支炎は、慢性のせき、たんをひきおこす感染症のほか、副鼻腔気管支症候群、びまん性汎細気管支炎、喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)などさまざまな原因により起こります。結核菌や非結核性抗酸菌などによっても慢性気管支炎症状を呈することがあり、気管支ぜんそく、肺がんなどでもせきやたんの症状が出ることがあります。
症状
感染症(いわゆるかぜ)による上気道炎、気管支炎は、鼻水やのどの痛み、倦怠感、悪寒などの初期症状から始まり、せきやたん、発熱に移行します。ぜんそく素因がある場合は、呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞こえるぜんそくや息切れが起きることもあります。
元来体力のある人は、背中や腰の痛み、筋肉痛などの症状も現れます。気管支炎のせきは治りにくく、ほかの症状が治まった後も気管支に炎症が残って数週間ほどせき症状がつづくこともあります。これを感染後遷延性咳嗽といいます。
慢性気管支炎では、せきやたんが1年で3カ月以上、そして少なくとも2年にわたり症状がつづきます。
検査・診断
急性気管支炎の場合は問診、視診、聴診などによって呼吸、せき、たんの状態を総合的に判断し、診断するケースがほとんどです。
慢性気管支炎が疑われる場合には、必要に応じて胸部Ⅹ線検査やCT検査、血液検査、細菌検査、たんの検査などを行い、炎症の程度や肺炎の有無を確認するとともに原因となっているウイルスや細菌を特定するように努力します。
症状が長引く場合には呼吸機能検査を行い、息を吐き出す力が弱まる閉塞性換気障害がある場合には肺気腫の合併や細気管支炎を疑います。症状によっては気管支鏡検査などの専門性の高い検査を行うこともあります。
治療
ウイルス性の急性気管支炎では対症療法が中心となり、せき、たん、発熱など、それぞれの症状に応じた薬が処方されます。原因がインフルエンザの場合には、抗インフルエンザウイルス薬を使います。細菌性の場合には、それぞれの推定原因菌に効果があると考えられる抗生物質を使用します。
アレルギー性慢性気管支炎では、アレルゲンを除去するとともに、ぜんそくに用いるステロイド吸入薬を使います。びまん性汎細気管支炎ではマクロライド系抗菌薬を数年間服用します。喫煙、大気汚染、化学物質が原因の場合は、禁煙や環境調整などを行うことが重要な治療法となります。ヒューヒュー、ゼーゼーなど喘鳴(ぜんめい)がある場合や閉塞性換気障害を伴うときなどは、ステロイド吸入薬とともに吸入気管支拡張薬を併用することもあります。
セルフケア
療養中
急性気管支炎で熱があるときは、十分な水分を摂取するようにしましょう。室内では乾燥を避け、加湿器を使用するなどして周囲の湿度を高く保つようにします。乳幼児の場合、加湿することで症状が緩和されやすくなります。
病後
気管支炎は冬に多く、インフルエンザから移行するケースが多いため、流行期に入る前にワクチン接種を受けておくことが予防になります。また、この時期はふだんより規則正しい生活を送り、バランスのよい食事と適度な運動を心がけ、疲れをためないようにしましょう。喫煙は気管支の粘膜を傷つけ、慢性気管支炎の原因にもなるため、喫煙者は禁煙することが大切です。
予防
気管支炎は冬に多く、インフルエンザから移行するケースが多いため、流行期に入る前にワクチン接種を受けておくことが予防になります。また、この時期はふだんより規則正しい生活を送り、バランスのよい食事と適度な運動を心がけ、疲れをためないようにしましょう。喫煙は気管支の粘膜を傷つけ、慢性気管支炎の原因にもなるため、喫煙者は禁煙することが大切です。
監修
千葉大学病院 呼吸器内科特任教授
巽浩一郎